Yahoo! JAPAN（ヤフー株式会社、現：LINEヤフー株式会社）の歴史は、日本のインターネット普及と並行して進んできました。アメリカのYahoo!をモデルとしつつも、日本独自のサービス展開によって国内で圧倒的な地位を確立し、「日本のインターネットの歴史はここから始まった」とも言われる存在です。
１. 黎明期：インターネットの門戸を開く（1996年〜2000年代初頭）
日本のインターネット環境が未熟な時代に、ポータルサイトとして情報アクセスの中心を担いました。
A. 会社設立とサービスの開始
1996年1月：ヤフー株式会社設立
アメリカのYahoo!（当時）とソフトバンクの合弁会社として設立されました。
1996年4月：Yahoo! JAPANサービス開始
国内初の商用検索サイトとして「Yahoo! JAPAN」を公開しました。
当初は、ウェブサイトをカテゴリー別に分類し、手作業で登録・管理する**「ディレクトリ検索（Yahoo! カテゴリ）」**と、キーワード検索を提供しました。
191997年：店頭登録
設立からわずか1年後には株式を店頭登録（後のジャスダック）しました。
B. ポータルサイトとしての地位確立
集客力の確立: ニュース、天気、そしてディレクトリ検索という、当時のインターネット黎明期にユーザーが必要とする情報を一箇所に集約したポータルサイトとして、圧倒的な集客力を持ちました。
1999年：Eコマース事業の開始
Yahoo! ショッピングと**Yahoo! オークション（現：ヤフオク!）**のサービスを開始し、Eコマース分野へ参入しました。
C. ブロードバンド時代への貢献
2001年：Yahoo! BBの開始
ソフトバンクグループ主導で、低価格のADSLサービス**「Yahoo! BB」**を提供開始。これにより、一般家庭へのブロードバンド回線の普及に大きく貢献し、インターネットの利用環境が劇的に変化しました。
２. 成長期：多角化と収益の確立（2000年代）
ブロードバンドの普及を追い風に、広告収益を基盤として事業を多角化し、収益を確立した時期です。
A. 脅威的な収益力
広告モデルの成功: 高い集客力を武器に、検索連動型広告などのインターネット広告事業で巨額の収益を達成しました。時代はマス広告からインターネット広告へとシフトしました。
2003年：東証一部上場
東京証券取引所第一部に株式を上場しました。
B. 検索エンジンの変遷
2010年：検索エンジンをGoogleに変更
それまで自社開発や他社エンジンを併用していた検索エンジンの中核技術を、Googleの技術に切り替えました。これにより、検索結果の品質を向上させました。
３. 変革期：スマホファーストとeコマース強化（2010年代）
スマートフォンとeコマースの急速な発展に対応するため、大胆な事業転換と企業買収を行いました。
A. スマホファーストへの転換
2012年：経営体制の刷新
宮坂学氏が代表取締役社長に就任し、「スマホファースト」を掲げ、事業の軸足をPCからスマートフォンへと大きく転換しました。
B. eコマースの強化
2013年：Yahoo! ショッピングの出店料を無料化
楽天などの競合に対抗するため、Yahoo! ショッピングの出店料と出品手数料を無料化するという大胆な戦略を打ち出し、eコマース分野を強化しました。
企業買収: アスクル（2015年）、一休（2016年）、ZOZO（2019年）などを買収・連結子会社化し、eコマース分野での地盤を固めました。
C. フィンテックへの注力
2018年：PayPay設立
ソフトバンクとの合弁でPayPay株式会社を設立し、QRコード決済サービスに注力し、フィンテック分野での地位を確立しました。
４. 統合期：Zホールディングスの誕生とLINEとの統合（2019年〜現在）
さらなる事業拡大とグローバル競争に対応するため、大規模なグループ再編を行いました。
A. Zホールディングスへの商号変更
2019年： ヤフー株式会社は、持ち株会社体制に移行し、商号をZホールディングス株式会社に変更しました。
B. LINEとの経営統合
2021年： Zホールディングスは、国内最大級のメッセージングアプリであるLINEと経営統合しました。これにより、検索・メディア、Eコマース、フィンテックの分野で、国内最大級のユーザー基盤を持つインターネットサービスグループが誕生しました。
C. LINEヤフー株式会社の発足
2023年： Zホールディングス、ヤフー、LINEの3社が統合し、LINEヤフー株式会社が発足しました。これは、激化するデジタル市場において、グローバルな競争力を高めるための大規模な再編であり、Yahoo! JAPANの新たな歴史の始まりとなっています。
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